事故事例
学内で起こった事故事例
事故事例1 目に薬品が入る事故
- どこで
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実験室
- 概要
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溶液を試験管から測定用ガラスセルに移す際に溶液がこぼれて、ビーカーにこぼれ落ち、ビーカー内の溶液が跳ね返り、それが目に入った。
- 対処
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大量の水で目を洗浄し、大学から病院まで目を洗い続けられるよう準備をして病院に向かわせた。
- 原因
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実験前に諸注意の際には保護メガネの着用について指導をしていたが、実験中に保護メガネを着用していなかった。
- 対策
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保護メガネさえ着用していれば防げる。
- その他
事例2 ガスボンベからのガス漏れ
- どこで
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実験室
- 概要
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実験装置周辺からアンモニア(NH3)が漏れたため、研究室および隣の研究室に悪臭が発生した。
- 対処
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ガスボンベの元栓を閉め、部屋の換気を行った。
- 原因
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実験終了後、ガスボンベの元栓を閉めなかった。
レギュレーターが故障していた。 - 対策
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- 実験の作業マニュアルを再作成する。
- 問題のあったレギュレーターは処分し、新しいレギュレーターを使用する。
- シリンダーキャビネットを使用する。
- NH3に使用するレギュレーターは、必ずNH3対応品の使用を義務付ける。
- その他
事例3 実験機器の爆発
- どこで
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実験室
- 概要
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細線放電装置を利用した酸化物超微粒子の作製研究中、爆発が起こりアクリル板のふたが粉々に吹き飛んだ。
爆発が直接の原因となる外傷はなかったが、事故後の片づけの際に、本人が貧血で倒れて顔面を負傷。 - 対処
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ガス閉鎖、電源遮断、吹き飛んだアクリル板の片付け、負傷した本人を病院へ搬送
- 原因
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アンモニアを可燃性ガスと認識せず、酸素と混合した後放電させた為に爆発。
- 対策
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- 安全教育を行った。
- 危険、可燃性がある薬品、ガス及びその組み合わせを掲示した。
- 新しい薬品・ガスを使った実験を始める際には、教員と相談する。
- 機器対策を行った。
- リスクアセスメントを行い、危険性予知と対策を行う指針とした。
- 実験手順書を整備した。
事例4 工作機械による指先の切断
- どこで
-
工作室
- 概要
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銅板を足踏み切断機にて1人で加工中に指先を切断した。
- 対処
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119番通報後、止血、ビニール袋で手及び切断した指をそれぞれ防水し、バケツに満たした氷水中に保存して病院へ搬送。
- 原因
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大きな金属板を切断するための足踏み切断機を、数センチ角のサンプル切断に使用したこと。
- 対策
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- サンプルに見合った工作法を検討し、危険を最小限にする。
- 学生実験のガイダンス時の安全教育において機械工作機器に対する教育を加えた。
- 足踏み切断機の前に使用上の注意を掲示する。
- 工作室の使用時間の厳守。緊急時の対応のため、工作室は2人以上で使用する。
- 足踏み切断機のサンプルを置くスペースに、指先が入らないような装置に改造。
事例5 配線コードからの発火
- どこで
-
実験室
- 概要
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電気計装作業中、突然実験台に置いていた電圧測定器の電源ケーブルから出火した。
- 対処
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消火器で消火
- 原因
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電圧測定器に接続している長いコードを束ねて使用した結果、発火
- 対策
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- 初めて作業を行う場合は、技術職員もしくは教員の立ち合いのもとで行う。
- 電源ケーブル接続は、メーカー推奨の条件、品物を用いるよう徹底する。
- 作業時、極力周辺備品を他の場所に移してから行う。
- 当該作業は、2人以上で行う
- 電源ケーブルは、コンセントと実験装置設置場所との距離に見合った適正な長さを使用する。
- 実験作業中は実験室を不在としない。
事例6 実験機の上板による事故
- どこで
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実験室
- 概要
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実験機の上板をクレーンで吊るしていたことを忘れ、上板に右眉をぶつけて切った。
- 対処
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圧迫止血しながら体育・保健センターに向かい応急処置を行った後、病院受診。
- 原因
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実験に慣れてきたせいで、注意散漫になっていた為。
- 対策
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注意を怠ることなく安全第一で作業を行う。
事例7 ガス充填中の事故
- どこで
-
実験室
- 概要
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ガス充填中にガラス瓶が破裂し、ガラス片が飛び散り、左手指を切った。
- 対処
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ガスボンベを閉めた後、傷口処置の為病院受診。
- 原因
-
ガラス瓶へのガス圧力が強かった為。
- 対策
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- ガスボンベを使用する際に必ず圧力の確認を行うこと。
- ガス出入口をガス量に対して十分に確保すること。
事例8 足を滑らせて転倒した事故
- どこで
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実験室
- 概要
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実験材料を取りに行く際、足を滑らせて転倒し、資材置き場の仕切りブロックであごを裂傷した。
- 対処
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体育・保健センターで処置後、病院受診。
- 原因
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足元の注意が不十分だった。
- 対策
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足元に十分に注意をし、急がず足場の良いところ歩くように指導を徹底する。
事例9 ガラス製トラップ破損
- どこで
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研究室
- 概要
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トラップ入口側の耐圧ゴム管をはずした際に中の液体が大気圧により急に出口側に押し出され、その勢いでガラス製トラップが破損し、飛散したガラス片で切り傷を負った。
- 対処
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傷口を流水で洗った後、体育・保健センターで処置。
- 原因
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トラップ中の水溶液量が多すぎたこと、並びに減圧を開放する際にいきなり耐圧ゴム管を引き抜いて急激な圧力変化を与えたこと。
- 対策
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- トラップに入れる液量を多くしすぎないこと。
- 減圧を開放する際にはT字管とスクリューコックを用いて徐々に開放するようにすること。
事例10 カッターの砥石の破片による切り傷
- どこで
-
実験室
- 概要
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鉄の丸棒をファインカッターで切断中、回転している砥石が破損し破片が飛び散り、その一部が右目元付近に当たり、切り傷を負った。
- 対処
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止血を行いつつ体育・保健センターに移動し、止血・消毒を行い、その後病院へ。
- 原因
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鉄の丸棒を固定すべきところに固定せず手にもって切断した為、装置のカバーをおろさなかった。
- 対策
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- 運転中はカバーをすることを徹底し、周知・掲示する。
- 必要に応じ保護メガネを着用するよう指導する。
- 機械器具のメンテナンス、作業室の整理・整頓を指導する。
- 単独で作業する場合、周囲の者に声を掛ける。
- その他
事例11 カセット式ガスコンロ発火
- どこで
-
廊下
- 概要
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研究室にあった古いカセット式コンロを使用しようとしたところ、ガスが漏れてボンベの根元まで炎が燃え広がった。
- 対処
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消火器で消火
- 原因
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使い方が不慣れなこともあり、カセットのガスボンベをしっかりセットできなかったことでガスが漏れた。
- 対策
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当該のガスコンロを廃棄し、今後同種の操作をする際注意するよう指導。
- その他
事例12 ホットプレート過熱によるアセトン引火
- どこで
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実験室
- 概要
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チタン粉末と水酸アパタイト粉末及び少量のアセトンを混合した粉体を金属製プレートに投入し、ホットプレートで加熱していた所、アセトンが引火して炎が生じた。
- 対処
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消火器で鎮火
- 原因
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作業中にその場から離れてしまった為、ホットプレートが引火前に過熱状態にあることを検知できなかった。
作業手順とそのリスクについて、十分な確認を行わないまま実行してしまったこと。休日ということで教員等に連絡することをためらったこと。 - 対策
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- 湿式混合時にアセトンを利用する場合は事前に湯浴でアセトンを十分に蒸発させてから乾燥させる。
- 作業終了まで、作業者が過熱が発生していないかを監視するよう指導する。
- 休日に作業をする場合でも、休前日までに作業手順資料を作成して教員と相談し、作業を実施する。
- その他
事例13 エッチング処理中のガラス薬品ビンの破裂
- どこで
-
実験室
- 概要
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別々に作製した濃度の異なる硝酸と塩酸を混ぜたエッチング液の廃液を一つのガラス瓶に混ぜ、ふたをしたところ、瓶が破裂・飛散し、ドラフトチャンバー前面ガラスが破損した。飛散したガラスの一部で、左手指の先を負傷。
- 対処
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研究室学生に口頭で事故の発生を知らせ、エネルギセンターへの通報を依頼した。事故現場確認後、病院受診。
- 原因
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濃度の異なるエッチング液の廃液を混合することにより、さらに反応が生じる可能性があることについて危険性を十分に考慮しなかった。
- 対策
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- 別々に作製したエッチング液の廃液を同一のガラス瓶で混合しないようにする。
- 薬品を混合する際には、反応が生じるか、また、生じていた場合、その後、反応が安定しているかを十分に確認する。
- 深夜に作業をする場合、事前に作業手順資料を作成して教員と相談・確認し、安全性評価後に対策を講じた上で了承を受け、作業を実施する。
- 関係する教員全員への自宅電話を含めた連絡先の再確認を徹底する。
- 研究室内で作業手順を見直したのち、外部による点検・評価を受け、必要に応じて、さらに安全な手順とする。
- その他
事例14 試料と固定バイスに手を挟まれ、左手親指を怪我した
- どこで
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工作センター
- 概要
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半円柱の金属材料を、帯鋸切断機を用いて切断するため、帯鋸切断機の台にバイスにて材料を固定しようとした際に、材料を押さえていた左手親指をバイスと材料の間に挟まれた。
- 対処
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工作センター職員に通報し止血。体育・保健センター職員による応急処置後、病院受診。
- 原因
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通常、帯鋸切断機の台に半円状の材料を固定する場合、半円状の平らな面を下にして台に置くところ、円弧側を下にして台に置き不安定な状態になった為、材料に手を添えてしまった。
- 対策
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- 指導教員からの事前安全指導の確認を強化する。
- 安全講習受講の厳格化を図る。
- 工作センター所有機器に対して、リスク・アセスメントを実施し、安全対策の強化を図る。
- その他
事例15 コンクリート引張試験の準備中の事故
- どこで
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実験室
- 概要
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コンクリート供試体を試験機に取り付ける際、上部取り付けを担当していた作業者が、誤って取り付け部分を締めるハンドルを緩む方向に回転させてしまった為、供試体が落下。落下した供試体に当たって怪我をした。
- 原因
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締め付けハンドルの操作方法間違い。
- 対策
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- 実験手順及び注意事項を掲示する。
- 締付ハンドルの回転方向の表示を大きく見やすくする。
- 試験機の周囲の足場を確保し、安全に取り付け作業ができるよう、足場の脚立を設置する。
- その他
事例16 電源を切断し忘れたことによる火災
- どこで
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研究室
- 概要
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プラスチック水桶内のヒーターが過熱され、水桶内の水が蒸発して「空だき」の状態となり、ヒーターの熱でプラスチックが発火し、研究室内の一部を延焼した。
- 対処
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消火器で消火。
- 原因
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装置を休止状態にするときには、本来、ヒーターの電源を切る(コンセントをぬく)必要があったが、切り忘れてしまった。
- 対策
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- 研究室において安全衛生ミーティングを早急に実施し、管理・運用方法を徹底する。
- 装置を休止状態にするときに、ヒーターなど熱を発する装置の電源も同時に切ることを徹底し、操作マニュアル、指示書などをわかりやすい場所に掲示する。
- 水位の低下でヒーターの電源が切れる装置や、空焚き防止装置を設置する。
- その他
事例17 折れた温度計で手指損傷
- どこで
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実験室
- 概要
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ゴム栓の穴にガラス製のアルコール温度計を通す際に、力を強くかけ過ぎた為、温度計が折れ、右手指を損傷した。
- 対処
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体育・保健センターで処置後、病院受診。
- 原因
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力で押し込んだ為、アルコール温度計が破損し、折れた温度計が手を突いた為。
- 対策
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- 穴が小さい場合は、大きくしてから通す。
- 滑りが悪い場合は、水やワセリンを塗って滑りを良くしてから通す。
- 革手袋を用いて通す。
事例18 ガラス器具の破損による切り傷
- どこで
-
実験室
- 概要
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穴あきのゴム栓にガラス管を差し込もうとしたところ、ガラス管が破損し、指に切り傷を負った。
- 対処
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体育・保健センターで処置後、病院受診。
- 原因
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差し込む際の抵抗が大きく、さらに強い力をかけて押し込んだ為、ガラス管が割れた。
- 対策
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ゴム栓の穴に水などを流し込み、ねじらないよう少しずつ押し込むようにする。
事例19 電気炉からの発煙
- どこで
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実験室
- 概要
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電気炉の蓋の間に挟んだままのプラスチック定規が溶け、煙が発生した。
- 対処
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電気炉の加熱を中止し、換気を行い、自然冷却を待った。
- 原因
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サンプル位置決定に使用したプラスチック定規を電気炉の蓋に挟んだまま、加熱を行っていた。電気炉の蓋はロックされていなかった。
- 対策
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- 電気炉の近くで燃えやすいものは使用しない。
- 装置使用前のにチェックリストを作成し、実験前に確認する。
- 高温時の注意点を装置近辺に表示する。
事例20 実験試薬の飛散
- どこで
-
研究室
- 概要
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DNA抽出操作において溶液を混合している際にプラスチックチューブのフタが開いてしまい、飛散したフェノール・クロロホルム混合溶液が顔と腕にかかった。
- 対処
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直ぐに大量の水で洗浄しウエスで拭いた後、体育・保健センターで処置。
- 原因
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チューブが完全に密閉されているかどうか確認を怠った為。
- 対策
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- (M)SDSを用い、薬品の危険性及び緊急時の処置方法を把握するとともに、作業状況に応じたリスクアセスメントを行う。
- 研究室全体で安全衛生に関するミーティングを行い、日頃から情報を共有する。
- 有害な薬品を取り扱う際は、作業に適した防具、衣服を着用する。
事例21 実験中に有機溶剤に引火
- どこで
-
研究室
- 概要
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微粒子を分散させた有機溶剤にパルスレーザーを照射する実験を行っていたところ、有機溶剤に引火した。素手で対処しようとしたため、両手にやけどを負った。
- 対処
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病院へ搬送。
- 原因
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- 事故以前には、「水」を使って実験していた。水だけでうまくいかない場合には、将来的に「プロパノール」と「水」を混ぜて実験する予定だったが、「プロパノール(100%)」だけで実験を行ってしまった。
- 深夜に一人で実験しており、適切な対応が取れなかった。
- 対策
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- 事前に指導教員と学生との間で十分な打合せを行い、時間外居残り届を必ず提出する。
- 実験の際には、指導教員が一緒に実験するか、又は学生2名以上で実験する。
- 学生だけで実験する場合は、指導教員はいつでも電話に出られるようにする。
事例22 ガラス管を手の中で砕いたことによる切り傷
- どこで
-
実験室
- 概要
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新品の外径12mmガラス管にヤスリ傷を入れて手で折る作業中、傷を入れる際に力が入り過ぎ、ガラス管が折れて手指を負傷。
- 対処
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直ちに傷口を流水で洗浄し、傷口内に破片が残っていないか確認したが、出血の為確認出来ず。傷口を圧迫して止血したまま、病院受診。
- 原因
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慣れによる油断。
- 対策
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切り傷に対してある程度効果が期待できるアラミド繊維を混紡した軍手を着用するよう勧める。
事例23 装置補修点検中の怪我
- どこで
-
実験室
- 概要
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X線回折装置の調整をしている際に手を痛めた。
- 対処
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体育・保健センター受診。
- 原因
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作業がしづらい体勢・環境だった。
- 対策
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周囲の整理整頓を行い、作業環境を整える。
事例24 UVランプによる目の炎症
- どこで
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実験室
- 概要
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クリーンベンチ内のUVランプを点灯させたままクリーンベンチ内で作業を行ったため、目の炎症を起こした。
- 原因
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使用前にUVランプ消灯の確認作業をしなかった。
- 対策
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- クリーンベンチ使用の際は必ずUVランプ点灯の有無を確認する。
- ベンチ内での作業者がいる場合は周囲でも作業中のUVランプ消灯の確認を行う。
- 作業中はUVランプ消灯の旨のステッカーを視認性が確保できるところに貼る。
- 発光(ブラックライト)シールを貼る。
- 新たにクリーンベンチを購入する際は、使用時に紫外線ランプが自動的に消灯する機種にする。
事例25 乾燥炉の故障による火災
- どこで
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実験室
- 概要
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鉄筋の錆を落とすために乾燥炉を稼働させていたところ、乾燥炉の老朽化によって温度制限装置が故障していたため、温度が上がり続け出火し、乾燥炉の上にあった工具、電線、計測装置等が燃えた。
- 原因
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乾燥炉の老朽化
- 対策
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- 同様の機器の点検。
- 発熱や発火の恐れがある機器の周囲に燃えるものを置かない。
- 装置の故障・異常があった場合は、直ちに使用を停止し、教員・職員に連絡した上で、原因を確認し、処置をする。これを実験室使用者全員に指導する。
事例26 針刺し事故
- どこで
-
実験室
- 概要
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有機合成実験を行っていた際、誤って左手手首に注射針を刺してしまった。
- 原因
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精緻な作業を行おうとして針を持っていた右手が過動した。
- 対策
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注射針を装着した注射器を用いる作業の危険性の周知と、安全な取扱法を研究室内で徹底する。また、研究室内での事故や怪我等は、例え軽微でも直ちに研究室の教員に申し出て、必要な処置について指示を仰ぐように改めて指導徹底する。消毒薬や絆創膏など、応急処置に必要な救急品の保管場所の学生への周知等も徹底する。
事例27 学生実験中の火傷事故
- どこで
-
一般化学実験室
- 概要
-
加熱操作終了後の三脚を片付ける際に、誤って三脚上部の金属部分を持ち、軽い火傷を負った。
- 原因
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加熱操作終了後の三脚上部は熱いことを深く考えていなかった。
- 対策
-
加熱操作を行った後の三脚上部の金属部分は熱いので触らないよう、並びに三脚は脚部を持つように習慣づけるよう、前もって指導を行うこととした。